自分とBUMP OF CHICKEN その9 「リボン」に救われた編

※このブログは、自分と、自分がこの世で一番好きなバンドであるBUMP OF CHICKENとの思い出を振り返る、言わば自分語り回顧録です。

 

2016年4月、自分は2年目の浪人期へと突入する事となる。そりゃアイマスに現を抜かして勉強を疎かにしていた自分にとって当然の処置であった。こんなクズな自分を、両親はよく許してくれたと今になって猛省している。

さすがに危機感を感じたリキ浪人生は、アイマスともいったん距離を置き、受験勉強に集中するようになった。2015年は全てのアイマスライブに現地・LVを含めて参加していたのを、2016年は担当の宮尾美也役の桐谷蝶々さんが唯一出演していたミリオンライブ3rd LIVEの1月に行われた名古屋公演のみに留めていた。

 

この頃のバンプはどうだったかというと、2月10日にニューアルバム「Butterflies」をリリースし、翌日の2月11日には結成20周年記念のスペシャルライブ「20」を幕張で開催していた。しかし、ちょうど2年目の浪人を決断していた時期だったというのもあり、この二つに集中してもいられなかった(上述のミリ3rd名古屋公演は1月31日の公演だったはずだが、という矛盾がここで生じているが…)。アルバムはとりあえず買って。ライブも、すごい素敵な内容だし、あの「BUMP OF CHICKENのテーマ」もアンコールで披露したのかー。といった軽いテンションでこれらの記念すべきイベントをスルーしてしまった。倦怠期は未だ続いていたのだった。

 

そんな自分がバンプとの距離感を再び縮めるきっかけとなった出来事のひとつがスタジアムツアー「STADIUM TOUR 2016 "BFLY"」への参加だった。

当時の自分はとにかく勉強に集中するようになっていて、それ以外の事はなるべく禁止するようにしていて、このツアー自体もパスするつもりでいたし、チケットの申し込みもしなかった。しかし、以前「WILLPOLIS 2014」に参加した際に同伴してくれた知り合いが、チケットがあるからという理由で自分の事を誘ってくれた。結果として甘えにはなるが、せっかくの機会を無駄にしたくないという理由で、親に土下座をしてそのチケットを譲ってもらう事にした。

 

こうして参加したのが5月8日、愛知県ナゴヤドームでの公演だった。自分にとっては初めてのドームでのライブという事もありいつも以上の興奮も感じていた。現地で知り合いと落ち合い、ドームに併設されているショッピングモールで時間を潰すなどして、いよいよ会場へと足を踏み入れた。

ドームなだけあっていつもより大規模なステージのセットと、見渡す限り一面に広がる観客席に自分の心も自然と高まっていった。そして開演時間、このライブのためだけに作られたOPの曲に合わせて会場全体もボルテージが上昇し、ついに「Hello,world!」で幕が上がった。

 

このツアー「BFLY」は全会場でセットリストが同じと、かなりタイトなツアーであり、全会場に参加するようなコアなファンからは一定の不満が生じたという話を聞いた事がある。しかし、自分にとっては、感動という点ではこのライブが恐らくこれまで参加したライブの中で一番といっても良いくらいのものとなった。

そんな思い出に残るライブとなった理由が二つある。

ひとつが中盤の終わり頃に披露された「車輪の唄」だった。以前も述べた事だが、「それまで自分の中でピンと来ていなかった曲が、あるライブで聴いた瞬間とてつもない名曲だと悟る」というあるあるが、このライブでも起こった。もちろん「車輪の唄」はこのライブで聴く以前から好きな曲だったが、このライブで聴いた時の空気感がいつもより曲に没入できるものだった。ステージのスクリーンに映し出される朝焼けの空、いつもより全身で感じられる軽快かつ重みのあるサウンド、そしてマイクを通して直接耳に入ってくる藤原基央のボーカル。これらの要素が見事に合わさって、自分がまるでこの曲の世界観の中にいるような感覚に陥ったのを数年経った今でもよく覚えている。それは、思わず感動で泣き崩れるほどの感動だった。

そして、もうひとつが本編終盤の怒涛の追い込みだった。「車輪の唄」で心を持っていかれた自分は完全にこのライブに心酔している状態だった。「supernova」で会場全体が合唱でひとつとなった後、「ray」の〈生きるのは最高だ〉でひとつのクライマックスを迎えるステージ。そこから「虹を待つ人」でボルテージが最高潮まで到達し、ラストの「Butterfly」でその日一番の盛り上がりを見せる観客。この一連の流れ全てが自分にとって至福の時間となった。

アンコールの「天体観測」が終わり、いよいよ終演となった際、自分はしばらく客席から動く事が出来ず、ただただその場で感じた多幸感を噛みしめていた。こうして振り返ると、浪人も2年目に突入し危機感を感じ、精神的に不安定だったのもあるのだろう。そんな自分の弱っている心を、バンプのパフォーマンスは見事に救い上げてくれたのだった。

こうして「BFLY」ナゴヤドーム公演は2016年の自分にとってかけがえのないライブとなったのだった。

 

「BFLY」の後、バンプ「アリア」をドラマ「仰げば尊し」に提供したり、「アンサー」をアニメ「3月のライオン」のOPに提供し、以前コラボした際の「ファイター」もEDに起用されたりと、タイアップでの活動が行われていたが、その間の自分は改めて受験への気持ちを入れ直し、勉強へ集中していたので、これらの活動もある程度抑えておくぐらいに留めていた。翌年2017年の1月には「流れ星の正体」のデモ音源をHP上で公開していたが、センター試験も終わっていよいよ佳境というタイミングで、このデモ音源も聞く余裕がなかったのを覚えている。

 

そんな極限状態に陥っていた自分が、バンプとの距離をより縮めるに至れた出来事が「リボン」の披露だった。


BUMP OF CHICKEN「リボン」

この曲は、活動20周年を締め括る一曲として、2月10日にYouTubeなどでスタジオライブの模様が生配信された。自分はその当時、東京の大学を受験するために単身上京し、父方の親戚の家に泊まらせてもらっていた。いくら親戚とは言え一人で東京に来た事への心細さ、自分の人生を決める事となる受験が続くという事に、極度のプレッシャーを感じていた。最後の最後まで対策はすれど、本当に合格できるのかという不安に苛まれていた。そんな自分に一抹の希望を差し込ませてくれたのが、この生配信だった。

Wi-Fiが使えなく、スマホのデータ通信で見ていたため画質も綺麗なものでは見れなかったが、バンプのこれまでの歩みを振り替えるような歌詞、そして、〈赤い星並べて どこまでも行くんだ〉というフレーズに、どこか心が安らいでいったのを今でも覚えている。

もし、このタイミングでこの「リボン」の生配信を見る事が出来なかったら、自分はこの受験期間を乗り越える事が出来なかったかもしれない。それ位、この出来事は自分にとっても重要なものとなった。

 

こうして「BFLY」への参加と「リボン」の生配信の2つの出来事で再びバンプへの距離を縮める事となった自分は、無事大学に合格し、晴れて大学生としての暮らしを東京で送る事となった。

 

〈つづく〉