自分とBUMP OF CHICKEN その17 2022年の暮れに編(後編)

 

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前回からの続き。この記事では夏フェス以降の出来事を振り返る。

 

ROCK IN JAPAN FES.2022 DAY3(08/11) 参加

人生初の夏フェスは、バンプの出るフェスだった。

 

フェスには行くに行けなかった自分も(場所遠いし忙しい時期の開催だしチケット代は高いし)、コロナ禍に突入した今となってはバンプが出るライブにはなるべく足を運んでその目に焼き付けたいと思うようになり、ようやくフェスに出演するバンプというのをお目にかかる事が出来た。

 

フェスでのバンプはいつものライブでのバンプとは違った面白さがあった。

特に新鮮だったのが他の出演バンドについてボーカル・藤原が触れた事だった。バンプの前の出番がマキシマムザホルモンだった事を受けて、藤原は「ホルモンの後にこんな暗いバンドが出ちゃって…」と発言して観客の笑いを誘っていた。

バンプはかなり内向的な所があるバンドで、他のアーティストとの接触をあまり公に話したりはしない。そんなバンプが他のバンドの名前を口に出した事自体が新鮮だったし、多くのバンドやアーティストが出演するフェスだからこそ起きた出来事だと思う。

 

もう一つ、アンコール前の観客の様子も面白かった。バンプのライブではアンコールの催促として「supernova」を観客が合唱するのがお決まりの流れだった。しかし、コロナ禍で思うように発声できない状況と、フェスという普段のバンプのライブの様子を知らない客も大勢いたからか、この時は観客がスマホのライトを付けて一斉に掲げていた。普段のライブでは絶対に起きない光景に最初は面食らったが、これもコロナ禍でのフェス流のやり方なのだと今では思う。ステージに戻ったメンバーがいつもと違う客側の様子を見て何を感じたか、とても気になる。

 

セットリストは先月のライブのダイジェスト版のようでありながら、「K」や「花の名」といった往年の名曲も久しぶりの披露し、久しぶりにバンプのライブを見た人も、自分のようなライブ常連の人間も、どんな人でも楽しめるものだった。

また、アンコールに「ray」も持ってきた事も新鮮だった。この曲は最近のセットリストではトリなどの要の役割を果たす事が多かったので、アンコールとして鳴らされるこの曲にはいつもと違ったものを感じた気がした。

 

フェス自体も初体験としてはとても良い思い出になった。思えばコロナ禍に突入して以来こんなにも多くの人が一堂に会している場所に来るのも久しぶりで、それだけでテンションが上がったし、物販やフードコーナーに並ぶ時間でさえもワクワクの止まらない時間だった。

また、他のアーティストやバンドのライブも、普段バンプのライブにしか行かない自分にとってはとても貴重なものだった。特にNUMBER GIRLを運良く前方のエリアで観れた事はとても大きかった。

 

今年の夏の夏らしい思い出はこのフェスしか作れなかったが、これ一つだけで十分すぎるほどの楽しい時間を過ごせた。また数年後くらいにバンプが再びフェスに出演する時も、会場に居られたらと願わずにはいられなかった。

 

 

 

〇「SOUVENIR」配信リリース


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9月、バンプの新曲がアニメ「SPY×FAMILY」の第2期のオープニングの主題歌を務める事が発表された。

 

このタイアップに対して触れておきたいのが、第1期のOP・EDはそれぞれOfficial髭男dismと星野源、同じ第2期のEDをyamaが担当していた事だ。

この並びにBUMP OF CHICKENがいるという事実が面白い。バンプ以外のアーティストは言ってもここ数年で脚光を浴びるようになったアーティストばかり。そこにバンプが入ってきた事が、新人気鋭の人たちに引けを取らない人気・集客力があると見なされているように思えて、いちファンとして結構嬉しいものを感じた。

 

また、この曲は音楽面でも新しい景色を見せてくれた。これまでにないほどの軽快でポップなギターリフとシンセサイザーの伴奏、音の数を出来るだけ減らしたサビと、活動期間が四半世紀を超えたバンドとは思えないくらい、チャレンジに満ち溢れた曲調となっている。

歌詞に関しても、「あなたに会えた事、あなたがいる事への喜び」を描いているという点では「新世界」と似ている所を感じるが、「新世界」がそれをひたすら抽象的に、多幸感に満ちた形で歌い上げていたのに対して、「SOUVENIR」は「あなたへ向かう帰り道」という歌い上げるテーマをより具体的に描いているのが印象的だった。

個人的にはサビの後半の〈歩いて 歩いて~〉の歌詞の部分が全体を通してとてもお気に入りの部分になった。この部分はフルで聴いて初めてその良さを実感できると思うので、アニメを見た人もそうでない人も、一度でもいいから通して聴いてもらいたい所。

 


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(後ほど触れるが、今年のライブハウスツアー Zepp Hanedaでのセミファイナル公演でのパフォーマンスの様子が見れるので、これも見て少しでもこの曲の魅力を感じてもらいたい。)

 

〇「TOUR 2022 Silver Jubilee」@Zepp Spporo DAY2 参加

 

 

11月1日、「ライブハウスでのBUMP OF CHICKEN」を観たくて一人北海道まで足を運んだ。

 

ただでさえライブのチケットが握れないバンプのライブハウスツアーという事で一公演だけでもと願いながら応募した甲斐あって、北海道のZepp Sapporo公演のチケットを本当に運良くゲットする事が出来た。

 

思えば、飛行機を使ってまで何かしらのイベントを観に行く、いわゆる「遠征」と呼ばれる事をしたのは今回が初めてだった。北海道に行くのも高校の修学旅行以来だし、飛行機に乗るのもその時以来だった。ライブついでに北海道を観光したり美味しいものでも食べたり出来たら良いな、そんな事を考えながら来るその日を心待ちにしていた。

 

そして迎えた当日。朝一の飛行機で移動した後は、時計台を観ながらEarstern Youthの「時計台の鐘」を聴いたり、さっぽろテレビ塔で意味もなく記念撮影の写真を千円払って買ったり、ふらっと入った定食屋さんで北海道らしさ溢れる海鮮丼を食べたりして時間を潰していた。

 

いよいよ開場・開演の時間。自分の立ち位置は1F スタンディングの下手側後方だった。

自分は身長がめちゃくちゃ低いため、あいにく背伸びしてもメンバーの頭がほんのちょっとしか見えない、その位しかステージの様子を見る事が叶わなかった。

しかし、今思えば却ってそんな状況が良かったのかもしれない。メンバーの様子を見るのを諦めて、時には目を瞑りながら奏でられる音のみに集中した事で、よりライブ感というものを味わえた気がした。ただでさえステージと客席の距離が近いライブハウス、よりダイレクトに感じられるアンサンブルが、自分の心を感動で大いに満たしてくれた。

 

セットリストも幕張でのライブから更に磨きがかかり、新旧の楽曲をよりごちゃまぜにしたものになっていた。個人的にはバンプの中でも特に好きなアルバム「COSMONAUT」の収録曲が多かったのも嬉しかったし、「アルエ」から「GO」といったこの先ないだろうと思えるような順番の披露にとても目頭に来るものがあった。

 

先程触れた「SOUVENIR」もライブで聴くとまた魅力が増したように感じた。2番のサビで藤原がマイクスタンドを離れて上手の方まで向かい、客席にクラップを煽っていたのがとても印象に残っている。

コロナ禍で声が出せない状況にある昨今。バンプのライブは客席に歌う事を求める曲が定番という事もあり、なかなか以前と同じようなライブを出来ない状況にある。そのような中でバンプの見出したい一つの手段がクラップだった。ありきたりのようにも思われるかもしれないが、間違いなく客席の全員でクラップしていたあの瞬間は、みんなで天体観測やray、ガラスのブルースを歌うあの瞬間と同じくらい、全員の気持ちが揃っていたのだと思う。

 

終演後、感無量だった自分は正に「SOUVENIR」の〈走って走って 胸いっぱいで歩いて〉の歌詞の通りの気持ちで会場を後にしていた。あの帰り道は、次のバンプのライブへと向かう帰り道の始まりなのだと、今改めて思える。

 

 

〇まとめ

BUMP OF CHICKENのファンになってから今日まで10年以上の月日が流れたが、それでもフェスや遠征と今年だけでも沢山の初めての経験をバンプは自分にもたらしてくれた。いつだって、BUMP OF CHICKENは自分にとっての居場所であり、目印であり続けてくれる。

 

来年には全国アリーナツアー「be there」に「Silver Jubilee」のライブ映像作品、「SOUVENIR」のシングルが控えていると思えば、時期は未定ではあるが「18祭」での若者とのパフォーマンスや「天体観測」のアニメーション企画と、既に多くのイベントが控えている。

 

今年もBUMP OF CHICKENにたくさんのものを貰えた一年だった。来年もどうか、メンバーの皆さんやスタッフの皆さんが無病息災で活動できるように、そして自分自身も健康な体でBUMP OF CHICKENを楽しめる事を切に願いながら、今回の振り返りを締めたいと思う。

 

それでは、また来年。

 

あと、多分これ俺。

自分とBUMP OF CHICKEN その16 2022年の暮れに編(前編)

2022年もあっという間に過ぎ去ろうとしている。

今年も例によってバンプの一年になったので、トピックス毎に振り返ってみたいと思う。

※このブログはタイアップ先の内容やライブのセトリ等ネタバレが含まれますのでご注意ください。

 

〇天体観測(2022 Rerecording Version)配信リリース


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バンプの代表曲として名高い「天体観測」が、「今の技術であの時やりたかった演奏を出来ないか」というコンセプトの元、再レコーディングされApple Music限定で配信された(現在はどのプラットフォームでも視聴可能)。

 

配信された3月時点では前年の紅白歌合戦で「なないろ」と合わせてこの曲が披露されたのも記憶に新しかった。紅白での披露を受けての今回の再レコーディングだったのか、それとも紅白より前に話は上がっていたのかは関係者のみ知る話だが、とにかく狙ったかのような再レコーディングには巡り合わせのようなものを感じずにはいられなかった。

 

この再レコーディング版に関してはとにかく一度聴いてもらいたい。欲を言えばオリジナル版と聞き比べてほしい。

個人的には、再レコーディング版を初めて聴いた時の印象は「曲の解像度がぐっと上がった」であった。

この「解像度」というのは音楽的な意味でも、天体観測に込められたメッセージ的な意味のどちらでも当てはまる。

音楽面でとりわけ顕著な違いがあったのが、ドラムのきめ細かい動きとDメロのコーラスワークだった。この二つがこの曲に繊細さと壮大さを同時に追加させたように感じた。

メッセージ面でも、どこかオリジナル版とは違った視点で歌詞上で繰り広げられる物語を俯瞰しているような感覚を得た。オリジナル版を聴く時は正に「今」生まれている感情や気持ちを一緒に味わっているような気分になるが、再レコーディング版は「過去」に起きた出来事を追体験しているような感情になる。同じ曲でも違って聴こえるのがとても面白かった。

オリジナル版からは約20年前のメンバーの若々しさ・荒々しさから感じる情熱を、再レコーディング版からはそれから約20年経った今、改めて「天体観測」に真摯に向き合った事で生まれたノスタルジーをそれぞれから感じ取った。どちらもそれぞれの素晴らしさがある。

 

12月にはこの再レコーディング版がSUBARU「クロストレック」のCMソングとして起用された。20年以上前の曲が今もお茶の間に響いていると思うと、日本を代表する一曲といっても過言ではないと感慨深いものがある。

また、来年春にはTOHO animetionの10周年企画としてオリジナルのショートアニメーションが制作される事がついこの間発表された。

 

BUMP OF CHICKENは「天体観測」だけのバンドではない、他にも素晴らしい楽曲が山のようにあると、いちファンとして声を大にして言いたいが、それでも「天体観測」という曲が今でも世間にもたらしている影響力は間違いないものである。

 

 

〇「クロノスタシス」配信リリース


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4月には映画「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」の主題歌として発表された「クロノスタシス」が配信リリースされた。

 

発表される曲のほとんどが何かしらのタイアップとなっているバンプだが、この曲も例に漏れず大型のタイアップとなった。バンプが世の中の全てのご長寿劇場アニメの主題歌を務める日もそう遠くないのかもしれない。

 

楽曲としてはバンド色はかなり控えめに、代わりに大胆にエレクトロサウンドを導入したバンドとしても新境地を感じさせる一曲となっている。

初めてこの曲を聴いた時に、BUMP OF CHICKENの紡ぐ歌詞の軸の一つである「『今はないもの』に対する喪失感」が根底にあるように感じた。しかし、そういった類の感情の内に居ても、それでもどうにかして力を振り絞って懸命に生きていこうとする、そんな人の傍にずっと居続けているくれるような、そんな力がこの曲には込められているように思えた。

 

タイアップ先である映画のストーリーを振り返ってみても、家族や親友を亡くした登場人物たちが、それでも自分たちの正義を胸に生きていく様子が描かれていて、そういう点ではこの曲と強くマッチしているように思えた。

…ただ、キスシーンの直後にいきなりイントロが流れ始めた時は情緒もへったくれもないなと思った。後クレジットの映像もちょっと茶地すぎやしませんか?

 

…個人的な感想はともかく、↑に載せたMVも極めてシンプルな作りとなっており、聴く人と一対一で向き合わせてくれるような、内向的な作りとなっていてとても良かった。

 

 

〇LIVE 2022 Silver Jubilee at Makuhari Messe 02/10-11 Day1参加

7月2日、幕張メッセで開催されたライブのDay1に運良く参加する事が出来た。

2019年のaurora arkツアーの東京ドームでのファイナル以来実に約3年振りだったこのライブ。途中で配信ライブを挟んだとは言え、バンド内外共に様々な出来事が起きたこの3年間を経て、一体どんな演奏を、どんなライブを見せてくれるのだろうと、期待と少しの不安を胸に会場まで電車で移動したのを覚えている。

 

ライブの感想なんてものはいくら言葉にしようとしても全てを伝えきれないものだと思っている。なので、特に印象に残った場面をピックアップして書いていきたいと思う。

 

・1曲目の「アカシア」の感想で、藤原基央が「会いたかった…」とポツリと零した。このライブは正真正銘バンプとリスナーの再会の場であり、勿論リスナーもメンバーに会えるこの時を心待ちにしてした。

このライブは本来2月の10・11日に開催される予定だったが、新型コロナウイルスの流行に伴い、開催を延期した経緯があった。この2月10・11日というのはバンプにとっては結成記念日の前日と当日というとても大切な日であり、その日にライブが出来なかったというのはメンバーとリスナー、それぞれにとって心苦しいものであった。

そんな状況も踏まえようやく開催できたこのライブ。このような記念すべき時間に立ち会えた事自体が奇跡であり、メンバーも同じ思いでいてくれた。そう感じさせてくれる呟きには、感激もひとしおだった。

 

・5曲目には「宇宙飛行士への手紙」が披露された。ライブの後に知った情報だが、この日のライブには宇宙飛行士の野口聡一さんも現地にいたと本人がSNS上に投稿していた。

本物の宇宙飛行士と同じ空間でこの曲を聴いていたという事実もとんでもない事に思えるが、それ以上に宇宙飛行士というとても名誉のある職業の人と、ライブという空間ではバンドを軸に一対一という、同じ立場に立てるというのもとても不思議な事のように感じられた。

 

・アンコールの2曲目にはこの日初披露となる「木漏れ日と一緒に」が演奏された。この曲自体もそれだけで語り尽くせるポイントが色々とあるが、これまでのバンプとは一味違った「深み」があるように感じた。

バンプもメンバー全員が40代に突入し、老舗バンドと呼ばれる日も近いくらいの歴史を重ねてきた。そのような中で放たれたこの曲には、そんな積み重ねて来た日々の重さが込められている、そのような気持ちにさせられる何かを持っていたように思える。上手く事に出来ないのがもどかしいが、早く音源で改めてこの曲が持つ雰囲気を感じさせてほしいと思ってしまう。

 

・この日のラストには「BUMP OF CHICKENのテーマ」が披露された。

活動初期はライブの1曲目で披露され、それ以降は数回しか披露されなかったこの曲。今では20周年ライブでの音源が残っているため希少価値はそれほど高くないとは言え、活動の節目でのみしか披露されなかったこの曲を生で聴けた事で聴けた事、バンドの25周年のお祝いの席に出席できた事は今後100年は誇っていたいと思った。

 

 

 

ここまででまだ半分しか振り返れていないが、長くなりそうなので続きは別の記事にアップしたいと思う。

 

 

自分とBUMP OF CHICKEN その15 2021年の暮れに編

9ヶ月ぶりの更新。

今年の紅白にBUMP OF CHICKENが出る事は、3月に朝ドラの主題歌のタイアップが決まった時点である程度確定していると思ったし(当時はまだベースの直井が活動休止中で、その辺りのわだかまりはどう扱われるのかという心配はあったが)、実際に出演が発表された際も、もちろん嬉しく思ったが順当であるといった感じが否めなかった。
披露曲も勿論「なないろ」で、「おかえりモネ」に出演していた俳優さんたちが演奏前に色々やるんだろうなぁ、朝ドラ様様だなぁ、とか考えたりしていた。

しかし先日、「天体観測」を追加で披露する事が発表された。順当さは綺麗にひっくり返され、今回の紅白出演がとてつもなく貴重なものと化した。

自分にとってBUMP OF CHICKENという存在が「好き」という言葉で言い表せない、そういう類の範疇を超えた所にあるように、そんなバンドの代表曲である「天体観測」という曲も、自分にとって好きとかそうでもないとか、そんな事を考えた事がないくらい、日常的に自分の人生の中に浸透していた。そんな事に気付かされたのは、つい最近の事だった。

自分が音楽を聴くのに利用しているSpotifyというアプリには、12月にその年に再生した回数が多かった楽曲をまとめたプレイリストを作成してくれるサービスがある。

https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1EUMDoJuT8yJsl?si=SqEX_TZOSFqP52WGQOhsCQ&utm_source=copy-link

これがそのプレイリストなのだが、その中に「天体観測」が入っていた。
「天体観測」以外の曲は確かに今年良く聴いていた印象があった。しかし、「天体観測」に関してはよく聴いたな、と思えるほど聴いた記憶がなかった。自分でもこのプレイリストの中にこの曲が入っている事に少し驚いたくらいだ。
その位、自分が無意識に求めていた事に気付かされた「天体観測」が、今年の上半期の朝を彩った「なないろ」と合わせて、今日テレビを通してお茶の間に響き渡る。

自分のようなファンにとっては歓喜の瞬間になる事間違いなしだが、ファンではない人が今日「天体観測」を聴いた時、どんな事を思うのか少し気になった。
「懐かしいな」という気持ちになる人はきっと多い事だろう。何せ、この曲がリリースされたのは今からちょうど20年前の2001年の事だ。逆に考えれば20年も前の曲だから、今日初めて聴く世代も間違いなくいるだろう。
今日の紅白を通して、BUMP OF CHICKENに初めて興味を持つ人、改めて楽曲に触れてみようと思う人、そんな人たちが日本中に少しでも現れる事を期待している。




ここ最近、自分のバンプへの依存度が今まで以上に増している。
というのも、リアルが非常に忙しくプライベートに割く事が出来る時間が極端に短くなっている。好きな音ゲーも満足できるだけのプレイ時間が作れず、好きなバラエティ番組も30分以上の時間があれば寝ていたいと思ってしまう。そういったものに触れるための元気が、いまいち作れなくなってしまった。
そんな状況でも、BUMP OF CHICKENの楽曲だけは毎日聴き続けられている。一曲だけでも聴いただけで、今日も何とか頑張ろうと心を奮い立たせる事が出来る。

以前のブログでも書いたような気がするが、BUMP OF CHICKENに生かされているという感覚が日に日に強くなっていったのが、2021年の自分とBUMP OF CHICKENの関係性の現在地だ。
バンプ側も、ベース直井が去年から続いた活動休止から復帰し、また元の4人の形に戻った。3人で活動している間もバンプへの熱量には何ら変わりはなかったが、先日配信された「Silver Jubilee」でいざ4人でのパフォーマンスを見た時、どこかホッとする所があった。
4人でのBUMP OF CHICKENが、この先再び崩れる事がない事を切に願いながら、これからもBUMP OF CHICKENの曲をただただ聴き続ける人生を送りたいと思う。

2022年が、良い一年になりますように。

自分とBUMP OF CHICKEN その14(終) ~自分にとって「BUMP OF CHICKEN」とは~

最近、子供の頃のうちにBUMP OF CHICKENに出会う事が出来て良かったと思う事が増えた。

というのも、あの頃聞いたバンプの曲と、大人になった今聞いたバンプの曲とで、聞こえ方や感じ方が違うという事がよくある。大人になって人生の経験値が多少は増えたからか、あの頃は素通りしていた歌詞に、今聞くとハッとさせられる瞬間が多々ある。自分が特に思い入れのある「COSMONAUT」というアルバムは、子供から大人になった自分へ、逆に大人になった今から子供の頃に自分への問いかけのような歌詞が頻出する。子供のうちから聴いていた曲が、まるでタイムカプセルように、大人になった今地面を掘り返す事であの頃の自分を思い起こさせると共に、今の自分に「どんな人生を歩んでいますか」という問いを、曲を通して尋ねてくれているように思えるのだ。これが、長年バンプファンを続けている一つの自慢であると思っている。

 

今回、この「自分とBUMP OF CHICKEN」というタイトルのブログを書き続ける中で、「自分にとってBUMP OF CHICKENとは何なのか」という事を、ずっと考えていた。

先に結論から書いてしまうと、自分にとってBUMP OF CHICKENとは、「どんな時でもそばに寄り添ってくれる存在」である、という意見に行き着いた。

 

2009年、学校と友達の家で「カルマ」に出会ってからおよそ12年、気付けば自分の人生の半分近くをバンプと共に過ごしていた。それだけ長い付き合いなだけあって、ふとした瞬間に出てくる言葉とか、ものごとに対する考え方とか、生き方とか、そういった物事にバンプの存在が活きているように思える。

どうしてこんなに熱狂的なバンプのファンになったのだろうと、これまで13回続けてきたこのブログを読み返してみた。最初のうちはただただ曲や歌詞のカッコよさに惹かれたいちリスナーでしかなかった。それが、曲だったり、ラジオだったり、そういったバンプから送られてくるコンテンツに触れるほどに、自分の中でバンプに対する「特別感」というものが次第に膨れ上がっていったように思える。そして、震災の時や受験の時などといった自分がピンチの時にも、バンプと、バンプの曲という存在が自分を励まし、勇気付けてくれたという点では、ある意味命の恩人のように捉えている節があるのかもしれない。世の中には星の数ほどのアーティストやバンド、アイドルやその他諸々といったエンターテインメントのコンテンツがある。その中で、たまたま自分の中の「人生を通して好きなコンテンツ」というポジションに、BUMP OF CHICKENがスッポリ収まったように思える。

 

そんな事を考えると、仮にBUMP OF CHICKENに出会っていなかったら、なんて事を想像してみたりした。正直な話、自分はバンプに出会っていなくても、普通に人生を送っていたと思う。本当に人生に必要な存在であれば、人類全ての人が出会っていなければおかしい。そんな大げさな所にまで広げるつもりはないが、とにかくそこまでバンプの事を神格化はしたくないと思っている。ただ、自分がバンプに出会っていない人生を送っていたとしても、人生のどこかで必ず、バンプの存在を必要とした時に、出会う事になっていたとは思う。

 

自分は、誰かの言った「人は必要な時に、必要な人と出会う」という言葉を強く信じている。BUMP OF CHICKENの曲たちは、自分たちが出会いたいと思ったその時にすぐに聞けるよう、自分たちのすぐそばで待ち構えてくれている。

自分は、バンプの存在が常に必要だと思っている。だから、バンプと何度も出会い続けている。

このブログを振り返って、そんな事を思った。

 

2021年の5月から始まるNHKの朝ドラ「おかえりモネ」に、バンプの新曲「なないろ」が主題歌を務める事が先日発表された。日本でも有数の高視聴率を誇る朝ドラなだけあって、日本の多くの家庭の朝の時間にバンプの曲が届けられるという事に嬉しさを感じると共に、自分もいち視聴者として、バンプの曲に出会いに毎朝テレビを付ける事と思う。

数多の数の中からBUMP OF CHICKENという存在に出会い、自分の中で一番好きなものに出来た事を誇りに思いつつ、これからも、そばに寄り添い続けてくれるバンプと共に、出会いを繰り返していきたいと思う。

 

〈おわり〉

 

 

自分とBUMP OF CHICKEN その13 25年目の「ガラスのブルース」編

※このブログは、自分と、自分がこの世で一番好きなバンドであるBUMP OF CHICKENとの思い出を振り返る、言わば自分語り回顧録です。

 

2021年2月11日。BUMP OF CHICKENの結成25周年の記念日を迎えるこの日に、新曲「Flare」が配信リリースされた。


BUMP OF CHICKEN「Flare」

ベースの直井が活動を休止してから初めて製作されたこの曲。ベースの部分はボーカルの藤原が代わりに演奏している。上記のMVも、直井を抜いた3人でのパフォーマンスを映像に収められている。

3人で活動していくという声明は、この結成記念日を迎える前から聴いていたものだったし、その間にも「Gravity」や「アカシア」といったリリースもあった。しかし、それらは直井もレコーディングに参加していたものであって、まだ4人での活動の跡が残るものであった。

こうしていざ3人で演奏する様子を目にした時は、やはりどこか寂しさを感じる所があった。メンバーがそこに「いない」という事実を、改めて突き付けられたような気がした。

それでも、「BUMP OF CHICKENの音楽」というものは、これまでと変わらない形で、そこで鳴り響いていた。たとえ3人での演奏でも、4人分の重みが乗っかっている、いつものように鳴り響く音楽が、そこにあった。

 

「Flare」のリリースから数週間後の2月27日、バンプNHKの音楽番組「SONGS」に約5年振りに出演した。

ここでもメンバーは3人で「アカシア」「Aurora」「Flare」を演奏し、最後の「魔法の料理 ~君から君へ~」では、オリジナルの音源にも参加していた、ストリングスの演奏家たちを招いた特別バージョンを披露していた。

これまで何度も聞いてきたバンプの演奏に、耳からは感動や興奮が伝わってくるが、目からは、どうしても一人いないという情報から寂しさを感じて、それが混ざって不思議な感覚になっていた。それでも、バンプの曲たちはいつもと変わらない大切さを纏って自分まで届けられていた。

番組中のインタビューで、藤原が「大切なものを、大切にしたくて」と発言していた。リスナーが勝手に大切に思っていたバンドメンバーの関係性を、こういった状況の中で、改めてメンバーたち自身が大事にしてくれている事に、嬉しさと同時に申し訳なさを感じた。

 

直井がいつ戻ってくるのか、4人でまたライブが行われるのかは、未だ分からない。それでも、メンバーが大切にしたいと思っているものを、なるべく、所詮曲を聴いているだけに過ぎない自分も、メンバーと同じくらいの熱量で、大切に出来たらと、「SONGS」を見ていて思った。

 

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最初に「Flare」を聞いた時に思ったのが、最初と最後に流れるギターのメロディーが、どこかブルースのように聞こえる、だった。それと同時に思い起こされたのが、BUMP OF CHICKENの始まりの曲、「ガラスのブルース」だった。

ブルースとは、元々はアメリカに強制移住させられたアフリカ系の人々が、孤独感や悲しみといった感情を込めて歌ったものを指す言葉であり、黒人霊歌やワークソング(労働歌)といったものから発展し、成立したジャンルだ。

「Flare」を聞いた方なら分かると思うが、この曲の歌詞には、人間としての生活を送る上でのつらさややるせなさ、その他悲しみや苦しみといった感情が込められているように思う。また、かつて「ギルド」で歌われた〈人間という仕事〉に追われ、心が擦り切れている様子が見える所からも、一種のワークソングともとれると思う。この「Flare」が歌おうとしているのは、まさしくブルースなのだと、この曲を繰り返し聞く中で思った。

「Flare」の中で描かれる人物は、眠れない程に耐えなければいけないものを抱えていたり、心は壊れていると断言したりと、とても正常とは言えない状態に追い込まれている。歌詞はこのように人間の暗い側面を描いているが、それに対してサウンドは心に迫る、優しいものとなっている。聴く人に厳しい現実を突きつけながらも、そんな現実の中で必死にもがこうとする人たちを優しく包み込んでくれる。

 

個人的に、「Flare」の中で何度も繰り返される〈灯火〉というワードには、青い炎のイメージを抱いている。青い炎は、赤い炎と比べると勢いは小さく、弱弱しく燃えているように思える。しかしその実、青い炎は赤い炎よりも高温で、安定した状態で燃焼を続けているのだ。青い炎は、〈どれほど 弱くても〉、自分という存在のために、ずっと〈 燃え続け〉てくれている〈小さな灯火〉なのだ。そして、バンプはその〈灯火〉を決してないものにしない。燃え続けている灯火がその先も燃え続ける事に対して、〈大丈夫〉という一言で、肯定してくれる。

 

25年目の節目にリリースされた「Flare」は、結成から変わらない「ブルース」を、自分たちの所まで届けてくれた。人生とはどこまでも大変で、時には生き死にを考えてしまう位に厳しいものだと思う。それでも、その事実を受け止めつつ、なおも前に進むためのエネルギーを与えるために、「Flare」を始めとするバンプの曲は存在しているのだと思う。

自分の人生が続く限り、BUMP OF CHICKENの奏でる「ブルース」を聴き続けたい。

 

〈つづく〉

自分とBUMP OF CHICKEN その12 悲喜交交編

※このブログは、自分と、自分がこの世で一番好きなバンドであるBUMP OF CHICKENとの思い出を振り返る、言わば自分語り回顧録です。

 

2020年、世界では新型コロナウイルスが大流行し、日本でも3月に緊急事態宣言が発令され、私たちの生活は大きく変わる事となった。BUMP OF CHICKENもこのコロナ禍に巻き込まれる事となり、メンバーがパーソナリティーを務めるラジオ番組「PONTSUKA」も放送を休止し、バンプの楽曲を流すだけの放送へと切り替わったり、コロナ禍の影響で大きなタイアップが流れたしまったという噂も聞くほどに、活動が上手く行えない状況が続いていた。

しかし、そんな状況の中でも、バンプはその時に出来る事を自分たちに届けてくれた。5月には当時の最新の映像作品だった「PATHFIDER」のSSA公演の本編や、それまで公開していなかった既存楽曲のMVをYouTubeで無料公開したり、「Hulu」にて「BFLY」の日産スタジアム公演の本編を無料配信したりと、ライブが出来ない状況でも我々リスナーが楽しめる機会を提供してくれた。

自分は当時就職活動をコロナ禍の中で行っていた。ただでさえ慣れない状況に加え、感染対策も徹底しなければいけないという、今思い返しても大変な日々を送っていた。それでも、バンプの曲を聴き、MVやライブ映像を見る事で、何とか明日の面接も頑張ろうと思う事が出来た。

 

8月、新型コロナウイルスの流行は依然として続いていたが、エンタメ業界も少しずつ活動を再開し始め、バンプに関しても、待望の新曲「Gravity」がアニメ映画「思い、思われ、ふり、ふられ」の主題歌に決定したり、「PONTSUKA」もいよいよ通常放送を再開したりと、バンプが動き始めた事に嬉しさを感じ、佳境と差し掛かった就職活動も、映画や毎週の「PONTSUKA」を楽しみにする事で何とか乗り越える事が出来たのだった。

 

そんな中、8月23日深夜放送回の「PONTSUKA」において、ボーカル&ギターの藤原基央が結婚を発表した。自分はその日もいつもの様に番組をリアタイしていて、メンバーがメール読みやコーナーを進行しているのをのんびりと聞いていた。すると唐突に藤原が「大事なお知らせがある」という一言を放った。何だなんだと思った次の瞬間に藤原から発せられた言葉が「俺、結婚しました」だった。

一番最初に頭によぎったのは「本当か…!?ドッキリなんじゃ…?」だった。あの藤原が結婚したという事実を、すぐには受け入れる事が出来ずにいたのだった。衝撃の一言の後、藤原はお相手が一般の方という事や、こうして言葉で結婚を報告できた事への喜びなどを語っていた。結婚しても自分たちの音楽は変わらない事、何よりもこれまで応援してくれたリスナーには感謝しかないという藤原の言葉からは、リスナーに対する愛が十分すぎるほど伝わってきた。自分もこの発表にいたく感激し、思わず公式Twitterでの再度のご報告に、お祝いのリプライを送ってしまった。

BUMP OF CHICKENは、それこそ「PONTSUKA」で子どもの頃の思い出や、今ハマっているものなどを話す事はあったが、結婚といったプライベートな内容には一切と言っていいほど触れてこなかった。そんなバンプが今回このような発表をしてくれた事に、これまでのライブなどとはまた違った形でメンバーとリスナーの間の絆のようなものが垣間見えた気がした。

 

そして数週間後、「Gravity」の配信が開始され、「aurora ark」の映像作品の発売決定や、映画の公開も間近に迫った事でリスナー界隈も盛り上がりを見せていた頃、ベース・直井由文に関する報道が週刊誌に掲載される事となった。

この一連の報道に関しても、最初に思った事は「本当なのか…!?」だった。こういったスキャンダルとは一切無縁の世界を生きていたように思ってたバンプから、こういった話が出てきたという事実を、素直に受け入れるのは自分にとって、とても難しい事だった。この報道を流し見でしか読む事が出来なかったが、読んでもやはり心のどこかで「そんな事をする人ではないはずだ」と願ってしまってもいた。

報道が世に出てから数時間後、バンプの公式SNSと、直井個人のSNSから、今回の報道を受けての声明と謝罪文が投稿された。報道をすぐに信じられなかった自分は、これをもってようやくこの件は事実なんだという事を痛感した。

 

有り体に言ってしまえば、この報道はとてもショックだった。幾度となく自分の人生に深く入り込んで、時には助けてくれた音楽たちを奏でている人たちの中から。あれだけ音楽に対して献身的で、リスナーの事を大切に思ってくれていたメンバーから、誰かの心を深く傷付ける人が現れたという事実は、簡単に受け止められるものではなかった。

かといって、メンバーやバンプの楽曲たちを嫌いになったかというと、そんな気持ちは全くとは言えないが、ほとんど起こらなかった。言ってしまえば、バンプは自分と自分の人生に深く染み込んでいて、それがない状態が考えられないくらいの存在となっている。自分には、そんなかけがえのない存在を頭ごなしに否定する事は、とても出来なかった。

 

この件で深い傷を負った方がいるという事実にも心が苦しんだし、何よりも他のメンバーや、関係者の方々の心中を察する程に居たたまれない気持ちになった。報道直後の「PONTSUKA」は放送を見合わせ、その時間はバンプと全く関係のない曲が流れていた。かつてコロナ禍の影響で放送を休止していた時にもバンプの曲は流れていたのに、この一件でそれすらも出来なくなってしまったという事にも、強い悲しみを覚えた。

 

報道から一週間後、「Vo./Gt. 藤原基央、Gt. 増川弘明、dr.升秀夫より皆様へ」というタイトルで、公式HPに今回のいきさつと、今後の活動についての声明が掲載された。

リスナーを失望させてしまった事に対するお詫びと、直井が活動休止する事、そして、今後の活動は残りの3人で、「今我々に出来る活動の全てを全力で続けていく事」を表明していた。

そして数日後の「PONTSUKA」でも、藤原がメンバーを代表して今回の件について説明し、今後の活動などについて説明を行った。

このふたつのどちらにも、メンバーの、今回の件に関する責任の重さと、それでもリスナーに対してしっかりと向き合っていこうとする真摯さが苦しくなる位に伝わってきた。どれだけ自分たちが傷ついたとしても、リスナーや世間としっかりと向き合う事を宣言してくれた事に、心からの感謝を伝えたくて仕方がなかった。

 

自分としては、一人が活動休止という状態になったが、ひとまずは活動を続けてくれた事にとても安堵したのを覚えている。これが仮にバンプ全体の活動を休止、もしくは終了する事になったとしても、その事を受け入れるぐらいの気持ちでこれらの声明を待っていた。メンバーがリスナーに対してこれだけ真摯に向き合ってくれるのであれば、こちら側も、バンプの音楽に対してより真摯に向き合うべきではと、たかがいちリスナーに過ぎない存在だが、この時そう思うようになった。

 

この報道の後、「PONTSUKA」は3人で通常通りの放送を再開し、バンプとしても9月にポケモンとのスペシャルコラボMV「GOTCHA!」に新曲「アカシア」を提供し、大きな話題になるなど、形は変われどこれまでと同じような活動を行うようになった。

どんな事が起きても、バンプから生まれる音楽は、やはり素敵で、かけがえのない感情を自分に届けてくれる。2020年は、そんなバンプという存在の大切さを改めて嚙みしめる1年だったように思える。

そして翌年の2021年、バンプは結成25周年の日を迎える事となった。

 

〈つづく〉

自分とBUMP OF CHICKEN その11 「arc」と「ark」編

※このブログは、自分と、自分がこの世で一番好きなバンドであるBUMP OF CHICKENとの思い出を振り返る、言わば自分語り回顧録です。

 

2019年3月、BUMP OF CHICKENの約3年半振りとなるアルバム「aurora arc」の発売と、7月からのドームツアー&ライブハウスツアー「aurora ark」の開催が発表された。「Butterflies」以降のバンプは、とにかく出す曲出す曲がタイアップ付きだったというのもあり、その辺りのアルバム収録との兼ね合いや、新曲にはどういったテイストの楽曲が来るのか、などといったアルバムに対する期待に溢れていた。それと同時に、「BFLY」以来のドームツアーという事で、出来るだけ多くライブに参加したいという気持ちがあった。

というのも、当時の自分は大学3年生で、翌年には就職活動、その翌年には社会人生活が控えているというのもあり、バンプのライブに何度も参加できるのはこのツアーが最後かもしれないという気持ちがあった。大学生活にもある程度余裕が出来、ライブにかかる諸経費もアルバイトで準備していた事もあって、このツアーには4公演と、今まで一番会場に足を運ぶ事が叶った。

まさかコロナウイルスの流行で、上で並べたものとはまた違った理由でライブに参加できる事が出来なくなるとは、このライブを巡っていた時点では露程も思っていなかった。結果としてこれだけのライブに参加出来た事が、どれほど恵まれていた事だったかを痛感している。

それぞれの会場でのライブについての感想は、後ほど書き連ねていきたいと思う。

 

2019年のバンプは、アルバム「aurora arc」と「aurora ark」の二つが大きな活動の軸となったが、もう一つ大きな動きとなったのが、6月の各サブスクリプションサービスでの音源の配信解禁だ。バンプはこういったストリーミング系の配信とは無縁の存在だと心の中で思っていたので、この解禁にはとても驚いたのを覚えている(もっとも、2016年の時点で「Google Play Music」にて一部音源を期間限定で配信していたが)。「BUMP OF CHICKEN」という存在が、より多くの人に知られる機会が生まれた事に喜ばないはずがない。自分も、バンプのサブスク解禁をきっかけにSpotifyの利用をちゃっかり始めた。あまり定額制のサービスを利用する気が起きない自分にとっては、こういったきっかけを与えてもらえて感謝しかない。今ではサブスク配信がない生活が考えられないほどに染まってしまっている。

余談だが、各種サブスクにはいわゆる「隠しトラック」は含まれていないのも、既存のCD時代からファンだった人たちとの上手い兼ね合いが取っていると思う。サブスクからバンプを聴き始めた人がCDを手に取り、「隠しトラック」の存在を知った際にどんな反応を示すのか、非常に気になる。

 

7月10日、待望のニューアルバム、「aurora arc」が発売された。先述の通りこのアルバムにはタイアップ曲が全14曲中11曲と(発売後さらに1曲増え、計12曲となった)、その多さにベストアルバムのような内容になるのではないかと視聴前は思っていた。しかし、実際にアルバムを通して聞いてみると、1曲1曲が互いに反発する事なく、まさに「aurora arc」という弧を描こうと、それぞれが一つにまとまって軌跡を形作ろうとしているのが強く感じられた。

特に、「流れ星の正体」の初めて聴いた時の衝撃はすさまじいものだった。元々この曲が、2017年に藤原基央の音楽雑誌での連載の終了をきっかけに作成されたデモ音源が公開されてから、実に2年半以上の時を経てフルバージョンの公開という、壮大なドキュメント性を備えていたというのもあったが、特に最後の歌詞が、バンプという存在と、バンプの楽曲たちが目指しているものを赤裸々に、力強く伝えてくれるものだった。往年のバンプファンにとっては感涙ものの楽曲だが、バンプを詳しく知らないという人にもぜひ聞いてほしい一曲だ。


BUMP OF CHICKEN「流れ星の正体」

 

アルバム発売後から数日後の7月12日、いよいよ「aurora ark」が埼玉・メットライフドームにて、4か月に渡る航海を始めた。自分にとってメットライフドームに足を踏み入れるのは、2015年のアイドルマスターの10thライブ以来4年振りと、様々な懐かしさも感じながらアリーナ席の前方の方で開演を待っていた。

ライブの内容は、「aurora arc」の収録曲を軸としながらも、どこか「BFLY」の要素を、一方では「PATHFINDER」の要素を感じさせるという、「最新バージョンのバンプ」というものを強く体感させるものだった。まだ明るい時間から始まり、客席と天蓋の間から日の照る外の様子も見る事が出来たこのライブは、朝から降っていた雨なんて関係ないくらいの夏の熱気、そして観客から起きる熱気が混ざり合った、出航にふさわしい盛り上がりとなった。また、今回のツアーで唯一「月虹」が聴けたライブでもあった。これまでのバンプのライブにはなかった火の演出があったりと、とてつもない熱狂に包まれたのが懐かしい。

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続いて自分が乗船したのが8月21日の新木場STUDIO COAST公演の2日目だった。まさか当たるとは思っていなかったライブハウス公演のチケット。何度もバンプのライブに参加してきたが、こんな貴重な機会はこの日しかないと思い、いつも以上に入念な準備をして参加したのを覚えている。

ライブハウスで聴くバンプの音楽は、とにかく距離が近かった。ドームやアリーナとは物理的な遠さがあるから、それと比べれば音だって近くに聞こえてくるのも当然分かっている。それでも、こんなにバンプのメンバーが奏でる音が直接自分に向かって届くという初めての体験に、自分はただただそれらを受け取るだけで精一杯の状態になっていた。自分は一階のスタンディング席と2階の座席もあるスペースの境目の階段辺りでこのライブを見ていたが、メンバーの登場や、一曲一曲が披露され始める度にうねるように動く1階席の様子にもとても新鮮さを感じていた。ドームのような巨大なスクリーンやライティングを使った派手な演出はないが、それでもバンプの曲が持つ力をシンプルなステージング故に存分に感じられるライブだった。

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自分の「aurora ark」も後半戦、次に参加したのが9月22日の愛知・ナゴヤドーム公演だった。以前の記事でも書いた、自分が再びバンプにハマるきっかけの一つとなった「BFLY」ツアーの公演以来3年となったナゴドでのライブ。元々最初にツアーが発表された際のラインナップでの最終公演だったというのもあり、「DANNY」聞きたさに応募したライブであって、のちにファイナルとして東京ドーム公演が発表された時には「行かなくてもいいかな…」なんて若干思っていたりもしたが、結果として、このライブに参加できた事がこの上ない幸せな出来事となった。

思い返せば、この日のライブは最初から空気感がそれまでとは違うものだった気がする。「Aurora」の、それまでにない歌詞変えや、「話がしたいよ」の〈君の好きな匂い〉という歌詞変えから感じる、より具体的な対象に向けたような内容に、どこか不思議な感覚を覚えた。そしてアンコール、このツアーでは初めての披露となった「同じドアをくぐれたら」の披露に観客も盛り上がり、「ガラスのブルース」で綺麗にエンディングを迎えたと思った所に、まさかの藤原からの「もう一曲やっていい?」という問いかけが。「先歌うから(他のメンバーは)入ってきて」という一言から始まったのが「バイバイサンキュー」。藤原以外のメンバーが大慌てでステージに戻ってきて、藤原の弾き語りに一人一人と加わっていく様子に、観客も興奮を抑えられずにはいられなかった。自分にとっては、初めてのライブの帰りに「天体観測」と交互に聞いたこの「バイバイサンキュー」への思い出を振り返りながら、3拍子に揺られながら、ただただこのWアンコールを噛みしめていた。

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そしてこの「aurora ark」も、11月4日、東京ドーム公演において終わりを迎える事となった。このライブも、上手く言葉に表せない位の、特別な時間だった。

「新世界」、〈ベイビーアイラブユーだぜ〉という、バンプの歌詞にしてはあまりにもポップ過ぎて、それでいてたくさんの愛が込められたこの歌詞が、曲が終わってからも、藤原と観客とでコール&レスポンスされ、藤原以外のメンバーもそれに沿うように伴奏する時間が偶発的に生まれた。まるでこの時間を、一秒でも長く続けたいという藤原とメンバーの想いが込められているようで、とても感慨深く思ったのを覚えている。

そしてアンコール。名古屋でも聴けた「バイバイサンキュー」と「ガラスのブルース」で一応のアンコールを迎えたが、ナゴドでのあの時間を味わった自分としては、これで終わりなはずがないと謎の期待を抱えていた。そして案の定、ナゴドを思い出すかのように、藤原が「スノースマイル」を歌い始め、メンバーもそれに続くように演奏を始めた。夏の暑い時期から冬へと差し掛かろうとする期間に行われたこの「aurora ark」というツアーの時間の経過が、この「スノースマイル」に込められていたように思う。

スノースマイル」の終了後、さらにもう一曲歌い始める藤原。このツアーの一番最後に披露された「花の名」は、ギターの増川が途中まで演奏に入りそびれたりと、パフォーマンスとしては少々イマイチな所もあったかもしれない。それでも、「新世界」のコール&レスポンスと同じように、音楽を中心に、メンバーと観客がひとつになったこの瞬間を、少しでも長く続けたいという想いには、そんな些末な事は気にする必要なんて全くなかった。演奏が終わりメンバー4人の熱い抱擁を経た後、「aurora ark」は幕を閉じたのだった。

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自分にとって「aurora ark」は、一言で言えば「魔法の時間」だったと思う。あの興奮も、あの感動も、あの一瞬一瞬の間にだけ感じられたものだった。それでも、その残滓が、今でもこうしてこのツアーを振り返る度に、あの日感じたものを蘇らせてくれる気がする。

個人的に、「aurora arc」は「旅」がひとつのテーマであると思っている。メンバーがスタッフとオーロラを撮影するために実際にカナダのイエローナイフまで赴いたというアルバム製作の過程も含めて、人生という名の旅を、バンプの曲と共に歩んできたリスナーにとって、まさにアルバムという形で「aurora arc」が残されたように思う。そして、そんなアルバムを引っ提げて行われた「aurora ark」も、同じように各地のドームやライブハウスを巡るという過程を経て、一つの旅として形作られたのだと、このツアーを振り返って感じた。

素敵な旅を経験させてくれて、ありがとうと、心の底から伝えたい。

 

〈つづく〉