自分とBUMP OF CHICKEN その16 2022年の暮れに編(前編)

2022年もあっという間に過ぎ去ろうとしている。

今年も例によってバンプの一年になったので、トピックス毎に振り返ってみたいと思う。

※このブログはタイアップ先の内容やライブのセトリ等ネタバレが含まれますのでご注意ください。

 

〇天体観測(2022 Rerecording Version)配信リリース


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バンプの代表曲として名高い「天体観測」が、「今の技術であの時やりたかった演奏を出来ないか」というコンセプトの元、再レコーディングされApple Music限定で配信された(現在はどのプラットフォームでも視聴可能)。

 

配信された3月時点では前年の紅白歌合戦で「なないろ」と合わせてこの曲が披露されたのも記憶に新しかった。紅白での披露を受けての今回の再レコーディングだったのか、それとも紅白より前に話は上がっていたのかは関係者のみ知る話だが、とにかく狙ったかのような再レコーディングには巡り合わせのようなものを感じずにはいられなかった。

 

この再レコーディング版に関してはとにかく一度聴いてもらいたい。欲を言えばオリジナル版と聞き比べてほしい。

個人的には、再レコーディング版を初めて聴いた時の印象は「曲の解像度がぐっと上がった」であった。

この「解像度」というのは音楽的な意味でも、天体観測に込められたメッセージ的な意味のどちらでも当てはまる。

音楽面でとりわけ顕著な違いがあったのが、ドラムのきめ細かい動きとDメロのコーラスワークだった。この二つがこの曲に繊細さと壮大さを同時に追加させたように感じた。

メッセージ面でも、どこかオリジナル版とは違った視点で歌詞上で繰り広げられる物語を俯瞰しているような感覚を得た。オリジナル版を聴く時は正に「今」生まれている感情や気持ちを一緒に味わっているような気分になるが、再レコーディング版は「過去」に起きた出来事を追体験しているような感情になる。同じ曲でも違って聴こえるのがとても面白かった。

オリジナル版からは約20年前のメンバーの若々しさ・荒々しさから感じる情熱を、再レコーディング版からはそれから約20年経った今、改めて「天体観測」に真摯に向き合った事で生まれたノスタルジーをそれぞれから感じ取った。どちらもそれぞれの素晴らしさがある。

 

12月にはこの再レコーディング版がSUBARU「クロストレック」のCMソングとして起用された。20年以上前の曲が今もお茶の間に響いていると思うと、日本を代表する一曲といっても過言ではないと感慨深いものがある。

また、来年春にはTOHO animetionの10周年企画としてオリジナルのショートアニメーションが制作される事がついこの間発表された。

 

BUMP OF CHICKENは「天体観測」だけのバンドではない、他にも素晴らしい楽曲が山のようにあると、いちファンとして声を大にして言いたいが、それでも「天体観測」という曲が今でも世間にもたらしている影響力は間違いないものである。

 

 

〇「クロノスタシス」配信リリース


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4月には映画「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」の主題歌として発表された「クロノスタシス」が配信リリースされた。

 

発表される曲のほとんどが何かしらのタイアップとなっているバンプだが、この曲も例に漏れず大型のタイアップとなった。バンプが世の中の全てのご長寿劇場アニメの主題歌を務める日もそう遠くないのかもしれない。

 

楽曲としてはバンド色はかなり控えめに、代わりに大胆にエレクトロサウンドを導入したバンドとしても新境地を感じさせる一曲となっている。

初めてこの曲を聴いた時に、BUMP OF CHICKENの紡ぐ歌詞の軸の一つである「『今はないもの』に対する喪失感」が根底にあるように感じた。しかし、そういった類の感情の内に居ても、それでもどうにかして力を振り絞って懸命に生きていこうとする、そんな人の傍にずっと居続けているくれるような、そんな力がこの曲には込められているように思えた。

 

タイアップ先である映画のストーリーを振り返ってみても、家族や親友を亡くした登場人物たちが、それでも自分たちの正義を胸に生きていく様子が描かれていて、そういう点ではこの曲と強くマッチしているように思えた。

…ただ、キスシーンの直後にいきなりイントロが流れ始めた時は情緒もへったくれもないなと思った。後クレジットの映像もちょっと茶地すぎやしませんか?

 

…個人的な感想はともかく、↑に載せたMVも極めてシンプルな作りとなっており、聴く人と一対一で向き合わせてくれるような、内向的な作りとなっていてとても良かった。

 

 

〇LIVE 2022 Silver Jubilee at Makuhari Messe 02/10-11 Day1参加

7月2日、幕張メッセで開催されたライブのDay1に運良く参加する事が出来た。

2019年のaurora arkツアーの東京ドームでのファイナル以来実に約3年振りだったこのライブ。途中で配信ライブを挟んだとは言え、バンド内外共に様々な出来事が起きたこの3年間を経て、一体どんな演奏を、どんなライブを見せてくれるのだろうと、期待と少しの不安を胸に会場まで電車で移動したのを覚えている。

 

ライブの感想なんてものはいくら言葉にしようとしても全てを伝えきれないものだと思っている。なので、特に印象に残った場面をピックアップして書いていきたいと思う。

 

・1曲目の「アカシア」の感想で、藤原基央が「会いたかった…」とポツリと零した。このライブは正真正銘バンプとリスナーの再会の場であり、勿論リスナーもメンバーに会えるこの時を心待ちにしてした。

このライブは本来2月の10・11日に開催される予定だったが、新型コロナウイルスの流行に伴い、開催を延期した経緯があった。この2月10・11日というのはバンプにとっては結成記念日の前日と当日というとても大切な日であり、その日にライブが出来なかったというのはメンバーとリスナー、それぞれにとって心苦しいものであった。

そんな状況も踏まえようやく開催できたこのライブ。このような記念すべき時間に立ち会えた事自体が奇跡であり、メンバーも同じ思いでいてくれた。そう感じさせてくれる呟きには、感激もひとしおだった。

 

・5曲目には「宇宙飛行士への手紙」が披露された。ライブの後に知った情報だが、この日のライブには宇宙飛行士の野口聡一さんも現地にいたと本人がSNS上に投稿していた。

本物の宇宙飛行士と同じ空間でこの曲を聴いていたという事実もとんでもない事に思えるが、それ以上に宇宙飛行士というとても名誉のある職業の人と、ライブという空間ではバンドを軸に一対一という、同じ立場に立てるというのもとても不思議な事のように感じられた。

 

・アンコールの2曲目にはこの日初披露となる「木漏れ日と一緒に」が演奏された。この曲自体もそれだけで語り尽くせるポイントが色々とあるが、これまでのバンプとは一味違った「深み」があるように感じた。

バンプもメンバー全員が40代に突入し、老舗バンドと呼ばれる日も近いくらいの歴史を重ねてきた。そのような中で放たれたこの曲には、そんな積み重ねて来た日々の重さが込められている、そのような気持ちにさせられる何かを持っていたように思える。上手く事に出来ないのがもどかしいが、早く音源で改めてこの曲が持つ雰囲気を感じさせてほしいと思ってしまう。

 

・この日のラストには「BUMP OF CHICKENのテーマ」が披露された。

活動初期はライブの1曲目で披露され、それ以降は数回しか披露されなかったこの曲。今では20周年ライブでの音源が残っているため希少価値はそれほど高くないとは言え、活動の節目でのみしか披露されなかったこの曲を生で聴けた事で聴けた事、バンドの25周年のお祝いの席に出席できた事は今後100年は誇っていたいと思った。

 

 

 

ここまででまだ半分しか振り返れていないが、長くなりそうなので続きは別の記事にアップしたいと思う。